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嗅覚障害(においが分からない・変なにおいがする)

〜においを感じるしくみ・原因・治療とお家でのトレーニング〜

「風邪が治ったのに、においが戻らない」「コーヒーが焦げたようなにおいに感じる」「料理の味がしない…」。においの困りごとは、周りの人に分かってもらいにくいものです。嗅覚障害(きゅうかくしょうがい)の原因と治療について、分かりやすくまとめました。

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1においはどうやって感じるの?

においは、鼻の奥の天井近く(嗅裂:きゅうれつ)にある粘膜の神経細胞がにおいの分子をとらえ、神経を通って脳に伝わることで感じます。この通り道のどこに問題があるかで、3つのタイプに分けられます。

気導性(きどうせい)

どこで起こる?
においが鼻の奥まで届かない
主な原因
鼻づまり、鼻茸(はなたけ)、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎

嗅神経性(きゅうしんけいせい)

どこで起こる?
においを感じる神経細胞が傷む
主な原因
風邪などのウイルス

中枢性(ちゅうすうせい)

どこで起こる?
においを処理する脳の部分
主な原因
頭のけが、脳の病気
においの通り道の図。鼻の入り口から嗅裂、神経を通って脳へ伝わる。①気導性はにおいが鼻の奥まで届かない、②嗅神経性はにおいを感じる神経細胞が傷む、③中枢性はにおいを処理する脳の部分
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においの通り道のどこに問題があるかで、3つのタイプに分けられます

舌で分かるのは、甘い・塩からい・すっぱい・苦いといった基本の味です。細かな風味の違いはにおいに頼っているため、においが分からないと「味がしない」と感じることがあります。

2嗅覚障害の種類と症状

においが弱くなる・なくなる

  • チェック:においが分かりにくい、まったく分からない
  • チェック:食べ物の風味が感じられない

においが違って感じる(異嗅症:いきゅうしょう)

においを感じる粘膜の炎症や、神経の異常などで起こります。

  • チェック:本来のにおいと違う、いやなにおいに感じる(コーヒーが焦げたにおいに感じるなど)
  • チェック:周りに何もないのに、焦げたにおいやガソリンのようなにおいがする

乾燥した環境で悪くなりやすく、寝起きには軽くなる傾向があります。

3主な原因

  • チェック:慢性副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎:粘膜の腫れや鼻茸で、においが届かなくなります。好酸球性副鼻腔炎では、早い時期からにおいが落ちやすいとされています。
  • チェック:風邪の後:風邪の症状が治ったあとも、においが戻らない状態です。中高年の女性に多く、異嗅症を伴うことがよくあります。
  • チェック:新型コロナウイルス感染症の後:多くは比較的早く回復しますが、長引く方もいます。長引く方では異嗅症を伴うことが多いとされています。
  • チェック:頭や顔のけが:頭を軽くぶつけた程度でも起こることがあります。
  • チェック:加齢:60歳を過ぎると、年齢とともににおいを感じる力が落ちていきます。
  • チェック:神経の病気:パーキンソン病やアルツハイマー病などで、早い時期からにおいが落ちることが知られています。ただ、嗅覚障害の原因の多くは、鼻の病気や風邪の後です。

4耳鼻咽喉科で行う検査

  • チェック:問診:いつから、きっかけ(風邪・けが・コロナ)、においが弱いのか違って感じるのか、使っているお薬などを伺います。
  • チェック:鼻の中の観察:細いカメラ(内視鏡)で、鼻茸や、においを感じる部分の腫れを確かめます。
  • チェック:画像検査:副鼻腔炎や頭のけが・脳の病気が疑われるときに、CTやMRIで調べます。
  • チェック:においの検査:何種類かのにおいを薄い濃度から嗅いでいく検査や、ビタミン剤の注射でにおいを感じるまでの時間を測る検査があります。

★当院では院内でCT検査を行っています。

5治療法

原因の病気の治療を第一に行い、症状に合わせて組み合わせます。

副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎

主な治療
ステロイドの点鼻薬、短い期間のステロイドの飲み薬など。お薬で良くならない慢性副鼻腔炎では、内視鏡の手術も選択肢になります。

鼻づまり(鼻中隔の曲がりなど)

主な治療
手術で鼻の通りを良くすることがあります。

風邪の後

主な治療
においを使ったリハビリ(嗅覚トレーニング)や漢方薬

頭のけが

主な治療
嗅覚トレーニング

新型コロナの後

主な治療
嗅覚トレーニングやお薬が選択肢の一つになります(まだ報告が少ない段階です)。

当院では、ステロイド、亜鉛やビタミンAなどのお薬、嗅覚トレーニングなどを症状に合わせて組み合わせます。手術や精密検査の当院での対応は、ご来院の際にご相談ください。お電話(050-1792-3387)でのご相談も承ります。当院で対応できない場合も、連携している医療機関をご紹介できます。

風邪の後のにおいの障害は、自然に回復していく方も少なくありませんが、回復には時間がかかることが多いため、あせらずに治療を続けましょう。

6お家でできるケアと受診のポイント

お家でできる嗅覚トレーニング

バラ・レモン・ユーカリ・クローブの4種類の香りを、1日2回、それぞれ10秒ずつ嗅ぎます。数か月、毎日続けることが大切です。

嗅覚トレーニングのやり方。バラ・レモン・ユーカリ・クローブの4種類の香りを、1日2回、それぞれ10秒ずつ嗅ぎ、数か月毎日続ける
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4種類の香りを1日2回、10秒ずつ嗅ぐトレーニングを数か月続けます

安全のために

  • チェック:においで危険に気づきにくくなるため、ガス警報器・火災警報器をつける
  • チェック:食べ物は消費期限を確かめ、においで傷みを判断しない
  • チェック:鼻炎や副鼻腔炎を放っておかない

こんなときは耳鼻咽喉科を受診

  • においが分からない、変なにおいがする状態が2週間以上続く
  • 風邪やコロナの後、においが戻らない
  • 鼻づまり、色のついた鼻水、ほおやおでこの痛みもある(副鼻腔炎のおそれがあります)

すぐに受診・救急を考える症状

  • 頭を強くぶつけたあとに、においが分からなくなった
  • 手足に力が入らない、ふらつく、ろれつが回らないなど、神経の症状を伴う
  • 思い当たることがないのに、突然においが分からなくなった

においが分からない、変なにおいが続くときは、早めにご相談ください。

当院のよくある質問

  • 異臭症とはどんな病気ですか?

    通常は無害な臭いが不快に感じられたり、「焦げた臭い」や「ガソリンのような臭い」が突然発生する状態を指します。嗅上皮の炎症や嗅細胞、嗅神経の異常が原因とされています。乾燥した環境で悪化しやすく、寝起きの時には軽快する傾向があります。

  • 異臭症の原因は?

    上気道炎による嗅上皮細胞の損傷、口腔内感染、消化器系疾患、皮膚病、内分泌異常、代謝異常、生活習慣(不規則な生活・ストレス・運動不足・睡眠不足)、食事(肉類・脂質・アルコール・タバコ)など多岐にわたります。

  • 異臭症の治療方法は?

    原因に応じた治療が中心です。呼吸性(鼻閉)には手術、嗅粘膜性(慢性鼻炎・副鼻腔炎)には内服治療とステロイド点鼻、神経性にはステロイド点鼻治療+ビタミン剤・漢方薬を用います。嗅覚刺激療法(バラ・レモン・ユーカリ・クローブの香りを1日2回各10秒嗅ぐ)も効果が期待されます。

  • 嗅覚障害とはどんな病気ですか?

    匂いを感じる能力が低下または喪失した状態です。上気道感染、アレルギー性鼻炎、頭部外傷、神経変性疾患(パーキンソン病・アルツハイマー病)、加齢、薬物副作用、鼻腔内の構造的問題、化学物質などの環境要因が原因となります。

  • 嗅覚障害の治療方法は?

    原因疾患の治療を第一に行います。薬物療法(副腎皮質ステロイド・亜鉛サプリメント・ビタミンA)、嗅覚トレーニング(バラ・ユーカリ・レモン・クローブの香り)、手術療法(鼻中隔湾曲症の矯正・内視鏡下副鼻腔手術)などを症状に合わせて行います。

  • 鼻で対応している症状を教えてください

    以下のような症状でご相談ください:鼻水がでる/クシャミがでる/鼻がつまる/へんなにおいがする/においがわからない/はなからのどにまわる/ほっぺたやおでこがいたい/鼻血がでる/はなに何かできている/花粉症やアレルギーの検査や治療をしてほしい。

  • 副鼻腔炎の症状(初期症状)を教えてください

    主な症状:①ドロッとした鼻水(黄色・緑色・臭い)②鼻詰まり③後鼻漏(喉に鼻水が垂れる)④頭痛・頭重感⑤発熱⑥顔面(頬・歯・目の奥)の痛み⑦匂いがわかりにくい。複数あてはまる場合は早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

  • 副鼻腔炎の検査・診断方法は?

    視診(前鼻鏡)、鼻腔内視鏡(ファイバースコープ)、画像診断(レントゲン・CT・MRI)、機能検査(鼻腔通気度検査・基準嗅覚検査)、生物学的検査(組織生検・血液検査・アレルギー検査)などを組み合わせて診断します。CTが最も詳細な情報を得られます。

  • 鼻茸(鼻ポリープ)とはどんな病気ですか?

    鼻腔や副鼻腔の粘膜から発生する柔らかい良性の増殖性病変です。慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、喘息、好酸球性副鼻腔炎、環境汚染物質などが原因で発生します。症状は鼻詰まり・口呼吸・水っぽい鼻水・嗅覚低下・頭痛・いびき・後鼻漏による咳・慢性疲労など。

  • 鼻茸の治療方法は?

    薬物療法(ステロイド点鼻薬、経口ステロイド、抗ヒスタミン薬、抗生物質)が基本です。好酸球性副鼻腔炎を合併している場合は抗ロイコトリエン薬、免疫抑制薬、生物学的製剤(デュピルマブ・メポリズマブ等)を使うこともあります。薬物療法で改善しない場合は内視鏡下副鼻腔手術を行います。

  • 味覚障害とは?

    亜鉛不足や神経の異常で味が感じにくくなる疾患です。治療は亜鉛の補充・ステロイド内服・味覚トレーニング。

  • 鼻カメラ(ファイバースコープ)は痛いですか?子供でも受けられますか?

    当院では鼻・喉の内視鏡検査(ファイバースコープ)を実施しております。細いスコープを使用し検査時間も短いため、ご負担は最小限です。お子様(乳幼児)にも対応しており、必要に応じて麻酔スプレーを最小限使用しながら、お子様の負担に配慮して行います。

  • CTの設備は院内にありますか?

    はい、当院は院内にCT設備を備えており、2026年6月14日より稼働しております。CT検査が必要な場合は院内で対応いたします。

  • 大きな病院を紹介してもらえますか?

    症状に応じて適切な医療機関へご紹介いたします。主な連携先は帝京大学ちば総合医療センター、千葉労災病院などで、症状によっては千葉大学医学部附属病院や君津中央病院などとも連携しております。手術や精密検査が必要な場合はご相談ください。

  • 新型コロナ・インフルエンザに感染しました(家族が感染しました)。いつから受診できますか?

    新型コロナ・インフルエンザに感染した方も、ご家族が感染した方も、受診いただけます。ご予約はWEBまたはお電話(050-1792-3387)で承ります。

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参考にした資料

院長 蔵内 隆秀

このページの内容について

蔵内医院 院長 蔵内 隆秀

日本耳鼻咽喉科学会専門医・補聴器相談医・医学博士

このページの内容は、当院の院長が確認した説明をもとにしています。

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